最近のベストセラーで「小学生がたった1日で19×19までかんぺきに暗算できる本」というのがあります。
こんなこと思ったことないのですが、正直言って自分が小学生のときに出会いたかったです。
自分にもし子どもがいたら、いますぐ小学校から連れ帰ってきていっしょに読みたい本ですね。
さて、そんなタラレバは置いておき、これをもう少し拡張させてみたいと思います。それが次の問題を暗算とまではいかなくても、より速く解くことです。
問題
次の計算をせよ。
(1) $17 \times 32 $
(2) $14 \times 73 $
(3) $53 \times 16 $
(4) $ 19 \times 24 $
YouTube
YouTube動画でも解説しています。動画のほうがわかりやすいので、気になるかたはぜひそちらもご覧ください。
やりかた
$ 13 \times 27 $ を例にやりかたを説明します。
(a) 十の位が1でない数字の十の位(27)と, 相手の一の位の数(13)を掛ける(2×3=6)
(b) (a)の結果(6)を十の位が1でない数字(27)と足してから, 10倍する((6+27)×10=330)
(c) (b)の結果(330)に, 一の位同士(13,27)の掛け算を足す(330+3×7=351)
考え方・・・基本的には「10のかたまり」をつくる
なぜ上のやりかたで計算できるか証明しておきましょう。
十の位が1でない数字を $ 10a+b $, 十の位が1の数字を $ 10+c $ といったんおきます($a$は2~9, $b,c$ は0~9の整数です)。一気に展開すると
$ \hspace{5mm}(10a+b)(10+c) = 100a+10b+10ac+bc \hspace{5mm} \cdots \mbox{①}$
となりますが, $10$でくくると
$ \hspace{5mm}\mbox{①}=10(10a+b+ac)+bc$
と変形できます。しかし, $10a+b$ というのは十の位が1でないほうの数字なので, これはもとに戻したほうが扱いやすそうです。
改めて、十の位が1でない数字を $N$とし, さらに$N=10a+b$とおきます。すると
$ \hspace{5mm}N(10+c) = 10N+cN $
$ \hspace{33mm} =10N+c(10a+b) $
$ \hspace{33mm} =10N+10ac+bc $
$ \hspace{33mm} =10(ac+N)+bc $
となります。
以上より, 十の位が1でない数の十の位の数$a$と十の位が1である数字$N$の一の位の数$c$を掛けて, $N$を加えてから10倍し, 最後に一の位同士の掛けたものを加えると計算できることが証明されました。
慣れると暗算とほぼ変わらないスピードで計算できるようにもなります。
解答
では, 改めてやりかた(a), (b), (c) に沿って問題を解いていきましょう。
(1) 17 × 32
(a) 7 × 3 = 21
(b) (21 + 32) × 10= 530
(c) 530 + 7 × 2 = 544 (答)
(2) 14 × 73
(a) 4 × 7 = 28
(b) (28 +73) × 10= 1010
(c) 1010 + 4 × 3 = 1022 (答)
(3) 53 × 16
かけ算ですから, 順番が変わってもやりかたに変わりありません。
(a) 5 × 6 = 30
(b) (30 +53) × 10= 830
(c) 830 + 3 × 6 = 848 (答)
(4) 19 × 24
(a) 9 × 2 =18
(b) (18 +24) × 10 = 420
(c) 420 + 9 × 4 = 456 (答)
(4) は 『10 のかたまりをつくる』にしても 19=20-1 と見て
$ 19 \times 24=(20-1) \times 24 =480-24 =456$
としたほうが速そうですね。
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