確率の最大最小 2019 早大-人間科学部

2019年の早稲田大学人間科学部の入試問題を例題に、確率の最大最小の問題の基本となる解き方を紹介します。この考えかたは、数列の最大最小でも使われます。

【問題】赤玉4個, 白玉11個が入っている袋から、玉を1個取り出し色を確認して元に戻すことを $n$ 回繰り返す。ただし $ n \mbox{≧}4 $ とし、この $n $回の操作でちょうど3回赤玉を取り出す確率を $p_n$ とする。

(1)$ \displaystyle \frac{p_n}{p_{n-1}} $ を $ n $ を用いて表せ。

(2)$ p_n $ を最大にする $ n $ の値を求めよ。

YouTubeによる動画解説

隣同士の引き算・割り算から大小関係を調べる

隣同士の差や商から、基準となるお隣よりも大きいか小さいか調べる。これを繰り返し、差の正負が変わるところ、商と1との大小関係が変わるところを探す。

そうすることで、数列や$n$を用いた確率の最大・最小を求められることがあります。

隣同士の差は0より大きいか小さいか

まず、隣同士の引き算を使った大小関係の調べ方の例です。

$ n $ を自然数として、たとえば $ p_{n+1} – p_n = n^2-12 $ ならば

\begin{eqnarray} 1 \mbox{≦} n \mbox{≦} 3 \hspace{2mm} \mbox{のとき} \hspace{2mm} p_{n+1} – p_n <0 \\ 4 \mbox{≦} n \hspace{2mm} \mbox{のとき} \hspace{2mm} p_{n+1} - p_n >0 \end{eqnarray}

なので

\begin{eqnarray} p_2 < p_1 ,\hspace{2mm} p_3 < p_2 ,\hspace{2mm} p_4 < p_3 \\ p_5 > p_4 ,\hspace{2mm} p_6> p_5 , \hspace{2mm} \cdots \end{eqnarray}

すわなち

\[ p_1 >p_2 >p_3 >p_4 < p_5 < p_6 < \cdots \]

なので、$ n=4 $ のとき$ p_n $ は最小となります。

隣同士の割り算は1より大きいか小さいか

続いて、隣同士の割り算を考える場合です。

たとえば $ \displaystyle \frac{p_{n+1}}{ p_n} =
\displaystyle \frac{ 9 }{ 2n } $ ならば

\begin{eqnarray} 1 \mbox{≦} n \mbox{≦} 4 \hspace{2mm} \mbox{のとき} \hspace{2mm} \frac{p_{n+1}}{p_n} >1 \\ 5 \mbox{≦} n \hspace{2mm} \mbox{のとき} \hspace{2mm} \frac{p_{n+1}}{p_n} < 1 \end{eqnarray}

なので

\begin{eqnarray} p_2 > p_1 ,\hspace{2mm} p_3 > p_2 ,\hspace{2mm} p_4 > p_3 ,\hspace{2mm} p_5 > p_4 \\ p_6 < p_5 ,\hspace{2mm} p_7 < p_6 , \hspace{2mm} \cdots \end{eqnarray}

すなわち

\[ p_1 <p_2 <p_3 <p_4 < p_5 > p_6 > p_7 \cdots \]

となるので、$ n=5 $ のとき$ p_n $ は最大となります。

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解答

(1)赤玉を取り出す確率は $
\displaystyle \frac{4}{15}, $ 白玉を取り出す確率は $
\displaystyle \frac{11}{15} $ なので

\begin{eqnarray} p_n &=& {}_n \mathrm{ C }_3 (\frac{4}{15})^3 (\frac{11}{15})^{n-3} \\ &=& \frac{n(n-1)(n-2)}{3 \cdot 2 \cdot 1} (\frac{4}{15})^3 (\frac{11}{15})^{n-3} \end{eqnarray}

同様に

\begin{eqnarray} p_{n-1} &=& {}_{n-1} \mathrm{ C }_3 (\frac{4}{15})^3 (\frac{11}{15})^{n-3} \\ &=& \frac{(n-1)(n-2)(n-3)}{3 \cdot 2 \cdot 1} (\frac{4}{15})^3 (\frac{11}{15})^{n-4} \end{eqnarray}

なので

\begin{eqnarray} \frac{p_n}{p_{n-1}} &=& \frac{ \frac{n(n-1)(n-2)}{3 \cdot 2 \cdot 1} (\frac{4}{15})^3 (\frac{11}{15})^{n-3} }{ \frac{(n-1)(n-2)(n-3)}{3 \cdot 2 \cdot 1} (\frac{4}{15})^3 (\frac{11}{15})^{n-4} } \\ &=& \frac{ n \cdot \frac{11}{15} }{ n-3 } \\ &=& \frac{ 11n }{ 15(n-3) } \hspace{20mm} \cdots \mbox{(答)} \end{eqnarray}

(2)(1)の結果より $ \displaystyle \frac{p_n}{p_{n-1}} >1 $を計算すると $ n \mbox{≧} 4 $ とから

\[ 11n
\mbox{≧} 15(n-3) \]

すなわち

\[ n \mbox{≦} \displaystyle \frac{45}{4} \]

であることなどから

\begin{eqnarray} 4 \mbox{≦} n \mbox{≦} 11 \hspace{2mm} \mbox{のとき} \hspace{2mm} \frac{p_n}{p_{n-1}} > 1 \\ 12 \mbox{≦} n \hspace{2mm} \mbox{のとき} \hspace{2mm} \frac{p_n}{p_{n-1}} < 1 \end{eqnarray}

これより

\[ p_3 < p_4 < \cdots < p_{11} > p_{12} > p_{13} \cdots \]

となるので、$ p_n $ が最小になるのは

\[ n=11 \hspace{5mm} \cdots \mbox{(答)} \]

のとき。

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