6人を2人ずつに分ける方法 (順列と組み合わせの違いをも見分けるポイントは?)

確率

「6人を2人ずつ3組に分けると何通り?」という問題で「$ _6C_2 \times _4C_2 \times _2C_2 =90$通り」と答えて間違い、そこから「確率?そんなもん人生のどこで役立つんじゃ??」とこの分野を嫌いになったり苦手になった人も少なくないのでは?

$ 3! $ で割ると正解になりますが、このページの目的は、なぜ $3!$で割るのかをしっかりと落とし込めるようになることです。

そうすれば、「6人を3人, 2人, 1人の3組に分けると何通り?」という問題に対しても「60通り」と自信をもって即答できるようになります。

では、例題を見ていきましょう。

問題

(1)6人を2人ずつA, B, Cの3組に分ける方法は何通りあるか?
(2)6人を2人ずつ3組に分ける方法は何通りあるか?
(3)5人を2人, 2人, 1人の3組に分ける方法は何通りあるか?

コツ

・重複の解消
・サンプルを作って実験する

サンプルを作って実験

わからないときも「サンプルを作って実験」してみましょう。

6人にA,B,C,・・・などと名前をつけ、2人ずつに分けてみると

AB | CD | EF
AC | BD | EF

などができますが、この先も書き出して実験するには数が多過ぎ。

数を少なくして再実験

6人ではなく4人で、A, B の2部屋に数を少なくして再実験してみます。

すると

AB | CD
AC | BD
AD | BC
BC | AD
BD | AC
CD | AB

の6通りあることがわかります。

同時に書きだして実験している途中で、

「4人のうち2人選ぶと、あとの部屋については自動的に決まる」と分かると

と計算できるし、

「4人のうち2人選び、あとの部屋は2人から2人を選ぶ」と考えると

と計算できます。

そして、6人での実験も2つ、3つだけ行えば、それ以上続けなくても解答が作れるようになるはずです。

AB | CD | EF
AC | BD | EF

Aの部屋に6人から2人を選び、Bの部屋に4人から2人を選ぶとOKですね?

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【(1)解答】

Aの部屋に6人から2人を選び、Bの部屋に4人から2人を選ぶと良いので

(答)90通り

(2)も数を少なくしたまま実験

(2)も4人を2人ずつの2部屋に分けるとどうなるか、数を少なくしたまま実験を続けてみましょう。

(1)の6通り
AB | CD ・・・(a)
AC | BD  ・・・(b)

AD | BC ・・・(c)
BC | AD ・・・(c)
BD | AC ・・・(b)
CD | AB ・・・(a)

のうち、部屋の区別がなくなると同じになる組があって、(a), (b), (c) の3組になります。

2人組のまま部屋Aと部屋Bのしきりを超えて並べ替えることのできる分だけ重複していることに気付けると、2で割ることができます。

6人の2人組で並べかえてみる

AB | CD | EF

を組ごとシャッフルして並べ替えてみると

ABが一番左にくるのが、AB | CD | EF と AB | EF  | CD
ABが真ん中にくるのか、CD | AB | EF と EF | AB | CD

ABが一番右にくるのが、CD | EF | AB と EF | CD | AB
これらは、組に区別のある(1)では別物だったけれども、組に区別のない(2)では重複

結局、3つの組の並べ替え分に相当する3!=6通り分だけ重複する。

ここまでくると、4人でできる2つの組のときに2で割ったのは、2つの組の並べ替えによってできる重複を解消したことにも気づくのでは?

【(2)解答】

A, B, C の組の区別がなくなると、A, B, C の並べ変え分だけ重複してしまうので

\[  \frac{90}{3!} = 15 \]
(答)15通り

ポイントは「組に区別があるかないか」

結局、この問題のポイントは「組に区別があるかないか」です。

組に区別があるときは、なんとなく解いても正解になりますが、組に区別がないときには重複してしまう。

その重複分は、区別のない組の並べ変え分だけあるので、割り算を実行することで解消できます。

ここまでくると、(3)は簡単ですよね?

【(3)解答】

2つの2人の組に区別がないので
\[ \frac{_5C_2 \times _3C_2 }{2!} =\frac{5 \cdot 4}{2 \cdot 1} \times 3 \times \frac{1}{2}=15 \]

(答)15通り

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別解(A) ・・・部屋を無視して6人をならべてしまう

部屋を無視して6人をまず並べ、それから2人ずつ仕切ると「同じものを含む順列」の考え方をつかって解けます。

サンプルを作って実験

【実験】6人を一列に並べると

ABCDEF
ABCDFE
ABCEDF

など、全部で 6! 通りあるが、2人ずつ仕切ると

AB | CD | EF
AB | CD | FE
AB | CE | DF

となり、最初の2つは同じになる。

同じになる理由は、EとFの並べかえ分の重複なので、それを並べ替え分の2!で割ることで、重複を解消できる。

6! の中には ABの並べ替えたBA、CDの並べ替えたDCも含まれているので、2つの仕切りでできた3グループのすべてを2!で割れば、重複分を解消することになる。

【(1)別解】

まず、6人を一列に並べる方法は 6! 通り。

ここで、一列に並べた左から2人ずつを組にして順に部屋を割り当てると、それぞれの組の中では2人の並べ替え分が重複するので、求める場合の数は

(答) 90通り

組合せCも順列Pの重複を割り算で解消しているだけ

\[ \frac{6 \cdot 5 \cdot 4 \cdot 3 \cdot 2 \cdot 1}{2 \cdot 2 \cdot 2} = \frac{6 \cdot 5}{2} \times \frac{4 \cdot 3}{2} \times \frac{2 \cdot 1}{2} \]

なので、これは $ _6C_2 \times _4C_2 $ や $ _6C_2 \times _4C_2 \times _2C_2$ とも同じです。

組合せの公式 $ _n C_r = \frac{_n P_r}{r!} $ も、順列のときには「並べる」ので別ものだったけれども、組合せでは「選ぶ」だけなので、並べ替え分が重複するんだということに気付くのではないでしょうか。

別解(B)・・・特定のだれかに着目する

一見現実的な考えかたなのですが、重複しない組に関して先に選んで確定させないと数え漏れが生じるおそれがあるので注意が必要です。

サンプルを作って実験

ここでも数を少なくして4人を2人ずつに分ける場合を考えてみます。

A, B, C, DのうちAに着目すると, Aと同じ組になる人を3人から1人選ぶと, もう一つの組は自動的に決まるので

\[ _3C_1 =3(\mbox{通り}) \]

(2)別解

6人のうち特定の一人に着目する(その人をAとする)と, Aと同じ組になる人の選びかたは

\[ _5C_1 =5(\mbox{通り}) \]

残った4人についても同様にして, 4人のうち特定の一人に着目する(その人をBとする)と,Bと同じ組になる人の選びかたは

\[ _3C_1 =3(\mbox{通り}) \]

あるので, 求める場合の数は

\[ 5 \times 3 =15\]

(答) 15通り

(3) 別解A

まず1人の組の選びかたが5通りあり, 残りの4人のうちの特定の誰かに着目すると, その人と同じ組になる人の選びかたが $ _3C_1 $ 通りあるので

\[  5 \times 3 =15 \]

(答) 15通り

(3) 別解B・・・重複しない人数の組を残して特定の誰かに着目すると

5人のうちの特定の誰かに着目する(その人をAとする)と, Aは2人組になるときと1人組になるときがある。

i) Aが2人組になるとき

Aと同じ組になる人の選びかたは $ 4 $ 通りあり, 残り3人のうち1人を一人の組に選ぶとよいので

\[ 4 \times 3 =12(\mbox{通り})\]

ii) Aが1人組になるとき

残り4人で2人ずつ2組に分ける方法は3通り

i), ii) より求める場合の数は 15通り 

YouTube動画

YouTubeでは18分ほどの動画で解説していますので、時間の許すときなどに御覧ください。

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