【基礎】反復試行の確率

今回は、反復試行の確率の考え方についてです。

では、さっそく次の問題を考えてみてください。

【問題】白玉2個, 赤玉4個の合計6個の玉が入っている袋がある。ここから玉を1個取り出し色を調べてからもとに戻すことを5回続けて行うとき, 以下の問いに答えよ。
(1) 白玉がちょうど4回出る確率を求めよ。
(2) 白玉の出る回数が3回以下になる確率を求めよ。
(3) 5回目に3度目の白玉が出る確率を求めよ。
(4) 青玉2個を追加し全部で8個の玉が入っている袋から同様の操作を行ったとき, 白玉が2回, 赤玉が2回, 青玉が1回出る確率を求めよ。

答だけ確認したい場合は、目次から答に進んでください。

YouTube動画

YouTubeでは27分で解説しています。

\[
(1) \frac{10}{243} \hspace{2mm} (2) \frac{232}{243} \hspace{2mm} (3) \frac{8}{81} \hspace{2mm} (4) \frac{15}{128}
\]

サンプルを作って実験

公式よりも、サンプルを作って実験してみることが重要です。

【公式】反復試行の確率
\[  _n C _r p^r (1-p)^{n-r}  \]

【ポイント】反復試行の公式を理解して使えるようになるには、「組合せ」や「同じものを含む順列」を使いながら実験してみる!

(1)の解説

【実験1】白玉を〇(確率1/3), それ以外を×(確率2/3)とすると, 白が4回出るのは・・・
〇〇〇〇×  ・・・(a)
〇〇〇×〇  ・・・(b)
〇〇×〇〇  ・・・(c)
〇×〇〇〇  ・・・(d)
×〇〇〇〇  ・・・(e)
の5パターンであることがわかります。(a) から (e) までのそれぞれの確率を計算して全部足せば答えはでそうですが・・・
(a)の確率は
\[ \frac{1}{3} \times \frac{1}{3} \times \frac{1}{3} \times \frac{1}{3} \times \frac{2}{3} = \frac{2}{243} \]
(b)の確率は
\[ \frac{1}{3} \times \frac{1}{3} \times \frac{1}{3} \times \frac{2}{3} \times \frac{1}{3} = \frac{2}{243} \]
あれ、(a)と(b)は同じ確率です。もう少し計算してみると, (c)の確率は
\[ \frac{1}{3} \times \frac{1}{3} \times \frac{2}{3} \times \frac{1}{3} \times \frac{1}{3} = \frac{2}{243} \]
となります。

掛ける順番が違うだけだから、(a)から(e)までどの場合も同じ

になるんですね。

この実験1ではすべての場合(a)から(e)までを全部書き出しましたが, 現実的には(a)あるいは(a)と(b)ぐらいを書きだして全部で何パターンあるか考えることになりそうです。

【実験2】白玉を〇(確率1/3), それ以外を×(確率2/3)とすると, 白が4回出るのは・・・
〇〇〇〇×  ・・・(a)
〇〇〇×〇  ・・・(b)
(a)も(b)も起こる確率は2/243。(a)や(b)のほかにどんな場合があるか考えると、実はいろんなアイディアがあります。

【発想1-1】〇と×をおく場所は全部で5ヵ所。そのうち〇の場所を4ヵ所選ぶと考えれば
\[ _5 C _4 \ (\mbox{通り}) \]

「×に着目したほうが簡単やん」と思った人はいませんか?あなたは次のように考えているはずです。

【発想1-2】〇と×をおく場所は全部で5ヵ所。そのうち×の場所を1ヵ所選ぶと考えれば
\[ _5 C _1 \ (\mbox{通り}) \]

「×に着目したけど、〇のことは無視していいの?」という人は、微妙ですが次のように考えるとしっくりくるはずです。

【発想1-3】〇と×をおく場所は全部で5ヵ所。そのうち×の場所を1ヵ所選ぶと〇の置く場所は残りの4ヵ所に自動的に1通りに決まるから
\[ _5 C _1 \times 1 \ (\mbox{通り}) \]

「掛ける1」は計算上はあってもなくても構わないですが、気持ちがちがう重みのある「掛ける1」です。

さて、まだ別の考えかたがありますが、ちょっと出し惜しみします(笑)。

ようやく(1)の解答です。

(1)の解答

1回の操作で白玉が出る確率は1/3, 赤玉が出る確率は2/3なので,5回中4回白玉が出る確率は
\[ _5 C _4 (\frac{1}{3})^4 \cdot \frac{2}{3} = \frac{10}{243} \ (\mbox{答}) \]

(2)の解説

【(2)のポイント】白玉の出る回数が1回、2回、3回になる確率を全部加えるのではなく、前の問題の結果の利用余事象を考えましょう。

(2)の解答

白玉が5回出る確率は
\[ (\frac{1}{3})^5=\frac{1}{243} \]
なので, (1)の結果とから白玉が4回以上出る確率は
\[ \frac{1}{243} + \frac{10}{243} = \frac{11}{243} \]
よって, 白玉の出る回数が3回以下となる確率は
\[ 1- \frac{11}{243} = \frac{232}{243} \ (\mbox{答})\]

(3)の解説

【(3)のポイント】直前でいったん止まることにより, まず4回目までに赤玉が2回出る確率を考えましょう。

解答

4回目までに白玉が2回出る確率は
\[ _4 C _2 (\frac{1}{3})^2(\frac{2}{3})^2 = \frac{8}{27}\]
なので, 5回目に3度目の白玉が出る確率は
\[ \frac{8}{27} \cdot \frac{1}{3}= \frac{8}{81} \ (\mbox{答}) \]

では、続いて(4)です。まったくわからなくてもできることがあります。それは・・・そうです!実験です。

(4)の解説

【実験3】白玉を〇(確率1/4), 赤玉を×(確率1/2), 青玉を△(確率1/4)とすると, 白が2回, 赤が2回, 青が1回出るのは・・・
〇〇××△  ・・・(a)
〇〇×△×  ・・・(b)
どう考えるか見当がつかない場合はまだまだ実験して書き出します。
〇×〇△×  ・・・(c)
(a)も(b)も(c)も, それぞれの場合の確率は, 掛ける順番が違うだけなので同じ。(a) ~ (c)の他に、合計で何通りあるかを考えると ・・・
【発想4-1】 5ヵ所から〇の場所を2ヵ所選んで, 残りの3ヵ所から×の場所を2ヵ所選ぶとよいと考えると
\[ _5 C _2 \cdot _3 C_2 = 30 \ (\mbox{通り}) \]

【発想4-2】登場回数の少ないものに着目して5ヵ所から△の場所を1ヵ所選んで残りの4ヵ所から×の場所を2ヵ所選ぶ。すると〇の場所は残りの2ヵ所に自動的に決まると考えると「掛ける1」の出番です。
\[ _5 C _1 \cdot _4 C_2 \cdot 1= 30 \ (\mbox{通り}) \]

ところで、計算式の途中をじっとにらむとあることに気づきませんか?

計算式を少しだけいじると30というのは
\[ \frac{5 \cdot 4 \cdot 3 \cdot 2 \cdot 1}{2 \cdot 2} \]

のように変形できます。もう気づいた人もいますね!すばらしい!

ここまで「組合せ」を使ってきましたが「同じものを含む順列」を使うこともできます。

【発想4-3】全部区別して2つの〇を別のもの,2つの×も別のものとして並べ、あとから重複分を割り算で解消する
\[ \frac{5!}{2! \cdot 2!} = 30 \ (\mbox{通り}) \]

(4)の解答

1回の操作で, 白玉が出る確率は1/4, 赤玉が出るのは1/2, 青玉が出るのは1/4 なので, 5回の操作で白玉が2回, 赤玉が2回, 青玉が1回出る確率は
\[ _5 C _2 \cdot _3 C_2 (\frac{1}{4})^2 \cdot (\frac{1}{2})^2 \cdot \frac{1}{4} = \frac{15}{128} \ (\mbox{答}) \]

30通りの計算式に【発想4-2】や【発想4-3】の式を使うと,別解が完成します。あなたもいろんな解法を考えてみてください。

(1)の他の考え方

ここまで読み進めてもらったあなたなら, (1)のところで出し惜しみした理由ももうお分かりですね。(1)にも「同じものを含む順列」の問題として考えることができます。

【発想1-4】4つの〇を区別して並べ, あとから重複分を割り算で解消する
\[ \frac{5!}{4!}=5 (\mbox{通り}) \]

と考えてもよいので, 【(1)の解答】中の式は
\[ \frac{5!}{4!} (\frac{1}{3})^4 \cdot \frac{2}{3} \]
とすることもできます。

以上、いかがでしたか?

反復試行の確率は公式だけ覚えるのではなくいろんな考え方をすることができ、それを通して「(同じものを含む)順列」や「組合せ」の考え方を再度確認することができます。

そうそう、忘れていました。最後に反復試行の確率の公式をおさらいしておきます。

\[ _n C _r p^r(1-p)^{n-r} = \frac{n!}{r!(n-r)!} p^r(1-p)^{n-r} \]

左辺は「組合せ」, 右辺は「同じものを含む順列」を使って考えているということが, 公式のちょっとした変形でも確認できると思います。

今回はさらりとしか触れていませんが、重複の解消も非常に大切な考えかたですので、仲の良いお友達にもあなたが説明できるくらいに練習をしましょう。

関連問題

【問題】7回コインを投げるとき, 次の確率を求めよ。
(1)少なくとも1回表が出る
(2)3回表が出る
(3)7回目に3度目の表が出る

解説はこちら→ https://ad064.com/coin_7times/

コメント

  1. […] 反復試行の確率が全くわからない場合は、【基礎】反復試行の確率をご覧ください。 […]

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