絶対値の絡んだ数Ⅱの面積計算を3通りで

【問題】$ \displaystyle \int ^2_{-2} | x^2+x-2 | dx $ を計算せよ。

3通りの方法で計算してみますが、絶対値を外してどんな部分の面積を計算すればよいのかに関しては、中身のグラフの負の部分を$x$軸に関して折り返します。

方針

いずれも計算そのものを簡単に行うための工夫です。

  • 【解答1】$ \int ^b_a (x^2+x) dx = \int ^b_a x^2 dx +\int ^b_a x dx $ のように積分する関数(被積分関数)を分割します。→ 分母が同じものを先に計算する。
  • 【解答2】被積分関数$f(x)$の原始関数$F(x)$を前面に出して計算します。原始関数とは、与えられた関数 $f(x)$に対し、$f(x)$が$F(x)$を微分すれば得られるような$F(x)$のことです。
  • 【解答3】面積公式 $ \displaystyle \frac{|a|}{6}(\beta-\alpha)^3 $ をフル活用します。

解答1・・・積分する関数を分割して、分母が同じものを優先計算

\begin{eqnarray} y &=& | x^2+x-2 | \\ &=& |(x+2)(x-1) | \end{eqnarray}

のグラフは下図のようになるので

\begin{eqnarray} \mbox{与式} &=& \displaystyle \int ^1_{-2} ( -x^2-x+2 ) dx + \displaystyle \int ^2_1 ( x^2+x-2 ) dx \\ &=& \left[ -\frac{1}{3}x^3-\frac{1}{2}x^2+2x \right]^1_{-2} +\left[ \frac{1}{3}x^3+\frac{1}{2}x^2-2x \right]^2_1 \\ &=& \color{red}{-\frac{1}{3}\left\{ 1^3-(-2)^3 \right\}-\frac{1}{2} \left\{ 1^2-(-2)^2 \right\}+2 \left\{ 1-(-2) \right\} } \\ & & \color{red}{ + \frac{1}{3}(2^3-1^3)+\frac{1}{2}(2^2-1^2) -2(2-1) } \\ &=& -3+\frac{3}{2}+6 + \frac{7}{3}+\frac{3}{2} -2 \\ &=& 4+\frac{7}{3} \\ &=& \frac{19}{3} \hspace{10mm} \cdots \mbox{(答)} \end{eqnarray}

解答2・・・絶対値でx軸に関して折り返されるときの定番?的計算

\begin{eqnarray} \mbox{与式} &=& \displaystyle \int ^1_{-2} ( -x^2-x+2 ) dx + \displaystyle \int ^2_1 ( x^2+x-2 ) dx \hspace{20mm} \cdots \mbox{(※)}\end{eqnarray}

ここで、$x^2+x-2 $ の原始関数のひとつを$F(x)$とすると

\begin{eqnarray} F(x)=\frac{1}{3}x^3+\frac{1}{2}x^2-2x \end{eqnarray}

なので

\begin{eqnarray} \mbox{(※)} &=& – \Bigl[ F(x) \Bigr] ^1_{-2} + \Bigl[ F(x) \Bigr] ^2_1 \\ &=& – \left\{ F(1)-F(-2) \right\} + F(2) -F(1) \\ &=& F(-2)+F(2) -2F(1) \end{eqnarray}

ここで

\begin{eqnarray} F(-2) &=& \frac{1}{3}(-2)^3+\frac{1}{2}(-2)^2-2 \cdot (-2)=\frac{10}{3} \\ F(2) &=& \frac{1}{3} \cdot 2^3+\frac{1}{2} \cdot 2^2-2 \cdot 2=\frac{2}{3} \\ F(1) &=& \frac{1}{3} +\frac{1}{2} -2=-\frac{7}{6} \end{eqnarray}

なので

\begin{eqnarray} \mbox{与式} &=&\frac{10}{3} +\frac{2}{3} -2 \cdot \left( -\frac{7}{6} \right) = \frac{19}{3} \hspace{10mm} \cdots \mbox{(答)} \end{eqnarray}

解答3・・・面積公式 $ \displaystyle \frac{|a|}{6}(\beta-\alpha)^3 $ をフル活用

点 (1,0) と点 (2,4) を結ぶ線分を引ければ、いわゆる6分の1面積公式を2回使うことができます。


求める定積分は、下図の斜線部の面積に等しい。

よって

\begin{eqnarray} &=&\frac{1}{6} \left\{1-(-2) \right\}^3 + \frac{1}{2} \cdot 1 \cdot 4 – \frac{1}{6}(2-1)^3 \\ &=& \frac{9}{2}+2-\frac{1}{6} \\ &=& \frac{19}{3} \hspace{20mm} \cdots \mbox{(答)} \end{eqnarray}

YouTube による解説

YouTube動画でも解説していますので、ぜひご活用ください。

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