2018年の北海道教育大学の第1問です。
【問題】
$ f(x)=\frac{ 1 }{ 9 }x^3-\frac{ 4 }{ 3 }x $ とする。曲線 $ y=f(x) $上の点 $\mathrm{A}(p, f(p))$における接線を $l$とするとき, 次の問いに答えよ。ただし, $p>0$とする。
(1)$x$軸の $x \geqq 0 $ の部分と曲線 $ y=f(x) $ で囲まれた部分の面積を求めよ。
(2)接線 $l$ の方程式を求めよ。
(3)曲線 $ y=f(x) $ と接線 $l$ の共有点のうち, 点 $\mathrm{A}$ と異なる点を $\mathrm{B}$ とする。点 $\mathrm{B}$ の $x$ 座標を $p$ を用いて表せ。
(4)(3)の点 $\mathrm{B}$ における曲線 $ y=f(x) $の接線を $m$ とする。$l$ と $m$ が垂直に交わるときの $p$ の値を求めよ。
解説・解答
(1)の解説
囲まれた部分の面積を求めるには、交点の $x$座標が必要になるので、そのためにはまず因数分解します。
$ y=f(x) $ は $x^3$と$x$のみで表されているので、奇関数で原点に関して対称な図形を描きます。
(1)の解答
\begin{eqnarray}
f(x)&=&\frac{ 1 }{ 9 }x^3-\frac{ 4 }{ 3 }x \\
&=&\frac{ 1 }{ 9 }x(x^2-12) \\
&=&\frac{ 1 }{ 9 }x(x-2\sqrt{3})(x+2\sqrt{3})
\end{eqnarray}
となるので, $ y=f(x) $ は下図のようになる。
よって, 求める面積を $\mathrm{S}$ とすると
\begin{eqnarray}
\mathrm{S} &=& \int_0^{2\sqrt{3}} \{0-(\frac{ 1 }{ 9 }x^3-\frac{ 4 }{ 3 }x)\} dx \\
&=& \left[ -\frac{ 1 }{ 36 }x^4+\frac{ 2 }{ 3 }x^2 \right]_0^{2\sqrt{3}} \\
&=& -\frac{ 1 }{ 36 } \cdot 144 + \frac{ 2 }{ 3 } \cdot 12 \\
&=& -4+8 \\
&=& 4 \hspace{20mm} \cdots \mbox{(答)}
\end{eqnarray}
(2)の解説
【公式】$ y=f(x) $ 上の点 $(t, f(t))$ における接線の傾き$m$は
\[
m=f'(t)
\]
接線の方程式は
\[
y-f(t)=f'(t)(x-t)
\]
(2)の解答
$f(x)=\frac{ 1 }{ 9 }x^3-\frac{ 4 }{ 3 }x$ より
\[
f'(x)=\frac{ 1 }{ 3 }x^2-\frac{ 4 }{ 3 }
\]
なので, 点 $\mathrm{A}(p, f(p))$における接線 $l$ の傾きは
\[
f'(p)=\frac{ 1 }{ 3 }p^2-\frac{ 4 }{ 3 } \hspace{20mm} \cdots \mbox{①}
\]
よって, 求める接線の方程式は
\begin{eqnarray}
y-(\frac{ 1 }{ 9 }p^3-\frac{ 4 }{ 3 }p) &=& (\frac{ 1 }{ 3 }p^2-\frac{ 4 }{ 3 })(x-p) \\
y- \frac{ 1 }{ 9 }p^3+\frac{ 4 }{ 3 }p &=& (\frac{ 1 }{ 3 }p^2-\frac{ 4 }{ 3 })x-\frac{ 1 }{ 3 }p^3+\frac{ 4 }{ 3 }p \\
y&=&(\frac{ 1 }{ 3 }p^2-\frac{ 4 }{ 3 })x-\frac{ 2 }{ 9 }p^3 \hspace{20mm} \cdots \mbox{②(答)}
\end{eqnarray}
(3)の解説
【ポイント】整関数が「$x=\alpha$で接する」ならば、2乗の因数$(x-\alpha)^2$を持つ
(3)の解答
$y=\frac{ 1 }{ 9 }x^3-\frac{ 4 }{ 3 }x$ と②を連立すると
\begin{eqnarray}
\frac{ 1 }{ 9 }x^3-\frac{ 4 }{ 3 }x-(\frac{ 1 }{ 3 }p^2-\frac{ 4 }{ 3 })x+\frac{ 2 }{ 9 }p^3 &=& 0 \\
\frac{ 1 }{ 9 }x^3-\frac{ 1 }{ 3 }p^2x+\frac{ 2 }{ 9 }p^3 &=& 0 \\
x^3-3p^2x+2p^3 &=& 0 \\
(x-p)^2(x+2p) &=& 0
\end{eqnarray}
これより, $y=\frac{ 1 }{ 9 }x^3-\frac{ 4 }{ 3 }x$ と①は, $x=p$ である点$\mathrm{A}$ で接し, $x=-2p$である点で交わっている。
よって, 点$\mathrm{B}$ の $x$座標は
\[ x=-2p \hspace{20mm} \cdots \mbox{(答)}
\]
(4)の解説
【ポイント】「垂直」と言われたら、傾きの積が-1 か内積が0、すなわち
\begin{eqnarray}
m_1m_2&=&-1 \\
\vec{a} \cdot \vec{b}&=&0
\end{eqnarray}
(4)の解答
点$\mathrm{B}(-2p, f(-2p))$ における接線の傾きは
\[
f'(-2p)=\frac{ 1 }{ 3 }(-2p)^2-\frac{ 4 }{ 3 }=\frac{ 4 }{ 3 }(p^2-1)
\]
これが, 点$\mathrm{A}(p, f(p))$ における接線と垂直なので, ①とから
\begin{eqnarray}
(\frac{ 1 }{ 3 }p^2-\frac{ 4 }{ 3 }) \cdot \frac{ 4 }{ 3 }(p^2-1) &=&-1 \\
4(p^2-4)(p^2-1) &=& -9 \\
4(p^4-5p^2+4) &=& -9 \\
4p^4-20p^2 +25 &=& 0 \\
(2p-5)^2 &=& 0 \\
p &=& \frac{5}{2} \hspace{20mm} \cdots \mbox{(答)}
\end{eqnarray}
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