数Ⅰの因数分解全パターン、実はワンパターン?

今回は高校数学の数Ⅰで学ぶ、因数分解について解説します。

公式として登場するのは、2次式の展開の逆向きに相当する次のパターンですが、共通因数でくくるのも忘れないでください。

共通因数でくくる

\[ a(x + y) = ax + ay \]

2次式の因数分解公式

\begin{eqnarray} a^2 + 2ab + b^2 &=& (a + b)^2 \hspace{5mm} \cdots \mbox{①} \\ a^2 \,- 2ab + b^2 &=&(a \,- b)^2 \hspace{5mm} \cdots\mbox{②} \\ a^2 \,- b^2 &=&(a + b)(a\, – b) \hspace{5mm}\cdots \mbox{③} \\ x^2 + (a+b)x + ab &=& (x + a)(x+b) \hspace{5mm} \cdots\mbox{④} \\ acx^2 + (ad+bc)x+bd &=&(ax + b)(cx+d) \hspace{5mm}\cdots \mbox{⑤} \\ \end{eqnarray} \[ a^2 + b^2 + c^2 + 2ab + 2bc + 2ca = (a + b + c)^2 \] \[ adx^2 +(ae+bd)xy +bey^2 +(af+cd)x+(bf+ce)y+cf \\ \hspace{30mm} = (ax+by+c)(dx+fy+e) \]

①から④は、基本的な因数分解でそんなに苦労せずに使えるようになるので、特に意識しなくてもいいですが、⑤の特別な場合に過ぎないです。

①から④はすべて⑤と同じようにして因数分解できます。

実際にどのようになるか、次の例題で試してみましょう。

【例題】次の式を因数分解せよ \begin{eqnarray} (1) & & 5x^2+17x+6 \\ (2) & & x^2+8x+16 \\ (3)& & x^2-25 \\ (4) & & x^2-x-12 \end{eqnarray}

(1) のやり方を確認しておくと$x^2$ の係数と定数項の積を「別の数字の積にして、和が $x$ の係数になるように」します。

(1) かけて $\color{red}{5} \times \color{red}{6}=30$ 、足して $\color{yellow}{17}$ になる2数に、1次の項を分解すると \begin{eqnarray} 5x^2+17x+6 &=& \color{red}{5}x^2+\color{yellow}{17}x+\color{red}{6} \\ &=& 5x^2 +(\color{yellow}{15+2})x+6 \\ &=& 5x^2+15x+2x+6 \\ &=& 5x(x+3)+2(x+3) \\ &=& (x+3)(5x+2) \hspace{5mm} \cdots (\mbox{答}) \end{eqnarray} (2) かけて $\color{red}{1} \times \color{red}{16}=16$ 、足して $\color{yellow}{8}$ になる2数に、1次の項を分解すると \begin{eqnarray} x^2 +8x+16 &=& \color{red}{1}x^2+\color{yellow}{8}x+\color{red}{16} \\ &=& x^2 +(\color{yellow}{4+4})x+16 \\ &=& x^2+4x+4x+16 \\ &=& x(x+4)+4(x+4) \\ &=& (x+4)(x+4) \\ &=& (x+4)^2 \hspace{5mm} \cdots (\mbox{答}) \end{eqnarray} (3) かけて $\color{red}{1} \times (\color{red}{-25})=-25$ 、足して $\color{yellow}{0}$ になる2数に、1次の項を分解すると \begin{eqnarray} x^2-25 &=& \color{red}{1}x^2+\color{yellow}{0}x \color{red}{-25} \\ &=& x^2 +(\color{yellow}{5-5})x-25 \\ &=& x^2+5x-5x-25 \\ &=& x(x+5)-5(x+5) \\ &=& (x+5)(x-5) \hspace{5mm} \cdots (\mbox{答}) \end{eqnarray} (4) かけて $ \color{red}{1} \times ( \color{red}{-12} )=-12$ 、足して $\color{yellow}{-1}$ になる2数に、1次の項を分解すると \begin{eqnarray} x^2-x-12 &=& \color{red}{1}x^2 \color{yellow}{-1}x \color{red}{-12} \\ &=& x^2 +(\color{yellow}{-4+3})x-12 \\ &=& x^2-4x+3x-12 \\ &=& x(x-4)+3(x-4) \\ &=& (x-4)(x+3) \hspace{5mm} \cdots (\mbox{答}) \end{eqnarray}

(2)~(4) はこのやり方である必要はまったくありませんが、たすきがけの因数分解をたすきがけせずに解く方法にスムーズにつなげたいという人は練習してみてください。では、あらためて練習問題に挑戦してみましょう。

【問題】次の式を因数分解せよ \begin{eqnarray} (1) & & x²-x-k²+k \\ (2) & & 3x^2 – x – 14 \\ (3) & & 8x^2 +2 x – 15 \\ (4)& & 5x^2 – 24xy + 16y^2 \end{eqnarray}

続いて解答です。

(1) かけて $\color{red}{1} \times (\color{red}{-k^2+k})=-k(k-1) $ 、足して $\color{yellow}{-1}$ になる2数に、1次の項を分解すると \begin{eqnarray} x²-x-k²+k &=& \color{red}{1}x^2 \color{yellow}{-1}x \color{red}{-k^2+k} \\ &=& x^2 +\{ \color{yellow}{-k+(k-1)} \}x – k(k-1) \\ &=& x^2-kx +(k-1)x -k(k-1) \\ &=& x(x-k)+(k-1)(x-k) \\ &=& (x-k)(x+k-1) \hspace{5mm} \cdots (\mbox{答}) \end{eqnarray} 【別解】$ k $ も文字とみて、次数の同じ部分に着目すると、 \begin{eqnarray} x²-x-k²+k &=& x²-k²-x+k\\ &=& (x+k)(x-k)-(x-k) \\ &=& (x-k)(x+k-1) \hspace{5mm} \cdots (\mbox{答}) \end{eqnarray} (2) かけて $\color{red}{3} \times (\color{red}{-14})=-3\cdot 2 \cdot 7=-42$ 、足して $\color{yellow}{-1}$ になる2数に、1次の項を分解すると \begin{eqnarray} 3x^2 – x – 14 &=& \color{red}{3}x^2 \color{yellow}{-1}x\color{red}{-14} \\ &=& 3x^2 +(\color{yellow}{-7+6})x-14 \\ &=& 3x^2-7x +6x -14 \\ &=& x(3x-7)+2(3x-7) \\ &=& (3x-7)(x+2) \hspace{5mm} \cdots (\mbox{答}) \end{eqnarray} (3) かけて $\color{red}{8} \times (\color{red}{-15})=- 2^3 \cdot 3 \cdot 5=-120$ 、足して $\color{yellow}{2}$ になる2数に、1次の項を分解すると \begin{eqnarray} 8x^2 +2 x – 15 &=& \color{red}{8}x^2 + \color{yellow}{2}x\color{red}{-15} \\ &=& 8x^2 +(\color{yellow}{12-10})x-15 \\ &=& 8x^2+12x -10x -15 \\ &=& 4x(2x+3)-5(2x+3) \\ &=& (2x+3)(4x-5) \hspace{5mm} \cdots (\mbox{答}) \end{eqnarray} (4) かけて $\color{red}{5} \times \color{red}{16y^2}=5 \cdot 2^4y^2=80y^2$ 、足して $\color{yellow}{-24y}$ になる2数に、1次の項を分解すると \begin{eqnarray} 5x^2 – 24xy + 16y^2 &=& \color{red}{5}x^2 \color{yellow}{-24y}x + \color{red}{16y^2} \\ &=& 5x^2 +(\color{yellow}{-20y-4y})x+16y^2 \\ &=& 5x^2-20yx -4yx +16y^2 \\ &=& 5x(x-4y)-4y(x-4y) \\ &=& (x-4y)(5x-4y) \hspace{5mm} \cdots (\mbox{答}) \end{eqnarray}
\[ 5x^2+17x+6 \mbox{の因数分解}\] (0) かけて $\color{red}{5} \times \color{red}{6}=30$ 、
たして $\color{yellow}{17}$ になる2つの数は?
\[ \color{yellow}{15} \mbox{と} \color{yellow}{2} \] (1) 1次の項を分解すると… \begin{eqnarray} 5x^2+17x+6 &=& \color{red}{5}x^2+\color{yellow}{17}x+\color{red}{6} \\ &=& 5x^2 +(\color{yellow}{15+2})x+6 \\ &=& 5x^2+15x+2x+6 \\ &=& 5x(x+3)+2(x+3) \\ &=& (x+3)(5x+2) \hspace{5mm} \cdots (\mbox{答}) \end{eqnarray}
\[ 3x^2 – x – 14 \mbox{の因数分解}\] (0) かけて $\color{red}{3} \times (\color{red}{-14})=-42$ 、
たして $\color{yellow}{-1}$ になる2つの数は?
\[ \color{yellow}{-7} \mbox{と} \color{yellow}{6} \] (1) 1次の項を分解すると… \begin{eqnarray} 3x^2 – x – 14 &=& \color{red}{3}x^2 \color{yellow}{-1}x\color{red}{-14} \\ &=& 3x^2 +(\color{yellow}{-7+6})x-14 \\ &=& 3x^2-7x +6x -14 \\ &=& x(3x-7)+2(3x-7) \\ &=& (3x-7)(x+2) \hspace{5mm} \cdots (\mbox{答}) \end{eqnarray}
2024年5月
12 34
5678910 11
121314151617 18
192021222324 25
262728293031
2024年6月
1
5678910 11
121314151617 18
192021222324 25
262728293031

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