2次方程式の「解の配置」って、やることはわかっているんだけど、解こうとするとなかなか思った通りにはできない。
そんな人は非常に多いと思います。
今回は、解の配置の問題を他のやり方で出来ないか、一緒に考えていきましょう。
ただし、文字定数( $a$ や $k$ など)をどのように分離するかなので、これが1次でないと使えません( $a^2$ 等の場合は使えません)。
問題
例題
$ a $ を定数として, $x$ についての2次方程式 \[ x^2-ax-2a+5=0 \] を考える。(1) $ x>0 $ の範囲に異なる2つの実数解をもつような $a$ の値の範囲を求めよ。
(2) $ -1 < x <2 $ の範囲に少なくとも $1$ つの実数解をもつような $a$ の値の範囲を求めよ。
YouTube動画解説
この問題はYouTubeでも解説しています。ぜひ動画もご活用ください。
$2$次方程式の中にある、$x$ 以外の文字に着目します。ここでは $a$ です。
$a^2$ となると解の配置か解と係数の関係を使わざるを得ないでしょうが、$x$以外の文字が1次であれば、文字定数を分離することができます。
数Ⅲが出てくる場合もありますが、どっちもやってみれば解の配置より簡単な可能性があります。
方針
文字定数を分離する。(1)分数にならないところまで分離する \[ x^2+5=a(x+2) \] → 簡単な2次関数 $ y=x^2+5 $ に $ y=a(x+2) $ というちょっと難しい直線を重ねて動かす (2)$a$ だけ残して完全に分離する \[ \frac{x^2+5}{x+2}=a \] → ごっつい感じの分数関数 $ y=\displaystyle \frac{x^2+5}{x+2} $ に $ y=a $ というわかりやすい直線を重ねて動かす
直線の動かしかた
(1)を実際に解く前に、直線 $y=a(x+2) $がどんな直線なのか?どう動かせばよいのかを確認しましょう。
「$x+2$」の部分の考えかただけでも、知識として覚えておくと後々きっと役に立ちますよ!
あなたの数学のコツ壺に、次のコツを加えていつでも使えるように練習しましょう。
- 引き算は後ろが基準
$ y=m(x-a)+b $ は $y-b=m(x-a) $ と見て、点 $(a, \, b) $ から(における)傾き $m$ の直線を描く。
この問題の直線は $y-0=a\{x-(-2)\} $ と変形すると、点$(-2, \, 0 )$ から(における)傾き $a $の直線を描けばよいです。
これを踏まえて(1)の方針で解いていきましょう。
【方針1】定点を通る直線を重ねる
(1)解答
\[ x^2-ax-2a+5=0 \hspace{5mm} \cdots \mbox{①} \] は \[ x^2+5=a(x+2) \] と変形できるので、 \[ y=x^2+5 \hspace{5mm} \cdots \mbox{②} \] と \[ y=a(x+2) \hspace{5mm} \cdots \mbox{③} \] の交点の $x$座標を考えるとよい。ここで、①の判別式をDとすると \begin{eqnarray} D &=& a^2-4(-2a+5) \\ &=& a^2+8a-20 \\ &=& (a+10)(a-2) \end{eqnarray} となるので、①が実数解をもつのは \[ a \leqq -10 \, \mbox{または} 2 \leqq a \] のときで、このとき①と②は交点を持つが、$x>0$で交わるのは \[ 2 \leqq a \] のときに限られ、②と③が異なる2点で交わるのは、③の傾き $a $が \[ x>0 \mbox{で接するときより大きく、}(0,5)\mbox{を通るときより小さい} \] とき。 すなわち \[ 2 < a < \frac{5}{2} \hspace{5mm} (\mbox{答})\]
(2)も同じようにできます。点$(-2, \, 0)$ を固定して直線を動かしましょう。
(2)解答
(1)と同様にして \[ y=x^2+5 \hspace{5mm} \cdots \mbox{②} \] と \[ y=a(x+2) \hspace{5mm} \cdots \mbox{③} \] の交点の $x$座標を考える。 ③が②と $x=-1$で交わるとき \[ a(-1+2)=(-1)^2+5 \ \mbox{より} \ a=6 \] $x=2$で交わるとき \[ a(2+2)=2^2+5 \hspace{3mm} \mbox{より} \hspace{3mm} a=\frac{9}{4} \] であるから、求める条件は、③の傾き $a$ が \[ x>0 \mbox{で接するとき以上で、} (-1,6) \mbox{を通るときより小さい} \] とき。 すなわち \[ 2 \leqq a < 6 \hspace{5mm} (\mbox{答}) \]【方針2】分数関数は、分子の次数を下げる
分母が1次の分数関数なら、微分しなくても概形がわかります。そのために必要なのは、分子の次数を下げることです。
- 分子の次数を下げる
分子を分母で割って、分子の次数を下げる
分数関数も簡単な例を確認しておきましょう。
分数関数
$y=\displaystyle \frac{1}{x}, \, y=\displaystyle \frac{3}{x}, \, y=\displaystyle \frac{9}{x} $ のグラフは下図のようになります。$y=\displaystyle \frac{9}{x+2}$のグラフは、点$(-2, \, 0)$から$y=\displaystyle \frac{9}{x}$を描きます。「引き算はうしろが基準」です。 $ y=x-2+\displaystyle \frac{9}{x+2} $ は、上の赤色の曲線に $y=x-2$ を加えたものです。先に直線を引くほうが描きやすいです。 $x$ が大きいと分数は0に近くなるので、だんだん点線の直線に近づいて行きます(数Ⅲで習う「漸近線」です)。 極小値は、微分して増減表をかくことになるのですが、穴埋めであれば分母の $x+2$ が正になる区間での最小値を求めればよいので、$x>-2 $で相加相乗平均をつかって \begin{eqnarray} x-2+\displaystyle \frac{9}{x+2} &=& x+2 +\displaystyle \frac{9}{x+2} -4 \\ & \geqq & 2 \sqrt{(x+2) \cdot \displaystyle \frac{9}{x+2}} -4 \\ &=& 2 \cdot 3 -4 \\ &=& 2 \end{eqnarray} 等号は \[ x+2=\displaystyle \frac{9}{x+2} \ \mbox{すなわち} (x+2)^2=9 \] $x>-2$ とから $x=1$ のとき成立。 これらより、$x=1$のときに極小値2を取ることがわかります。
ただし、本来は $x<-2$の範囲も考えなければならないので、微分します。
公式は数Ⅱで使うものとほぼ同じです。
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